性同一性障害

(GID/Gender Identity Disorder)

男性の身体を持って生まれながら自分を女性だと認識する
女性の身体を持って生まれながら自分を男性だと認識する

つまり、精神的性別と身体的性別が一致していない状態
それが性同一性障害である

前者をMTF、後者をFTMと呼ぶ
それぞれMale to Female、Female to Maleの略である

性同一性障害の原因は未だハッキリしない
先天説、後天説どちらも存在するが
先天説が有力である

しかしながら、なぜ性同一性障害になるのかという原因は分かっていない
性同一性障害の当事者は自分自身が悪いわけでもなく
かといって両親を責めるわけにもいかない
ただ1つ言えるのは、
性同一性障害を抱える人々は
そうでない人々に比べ、非常によく自分自身と向き合っている
向き合わざるを得ない、という現実があるのだろうが
必然であれ、そのような機会を持てるということは
とても素晴らしいことだと思う

法整備も徐々に整いつつある現代、
我々の認知の仕方も確実に変化してきている
性同一性障害の人たちには、どうか前向きに生きてほしいと
願うばかりである

そもそもの始まり

1969年に東京地裁で、
3人の男性に性転換手術を行った産婦人科医に対し
優生保護法(現母体保護法)違反で有罪の判決が下されて以来、
30年近く性転換についての問題は医学会のタブーとなっていた。

その後「性転換手術=優生保護法違反」という考えが定着し、
結果、性同一性障害についての問題が地下に潜ってしまい
治療そのものも陰で行われる事態を招き、
この問題の解決に長い遅れをとってしまった。

この問題に最近になって一石を投じたのが、
埼玉医科大で行われた性転換手術である。
1996年になって埼玉医科大で、ついで1997年には日本精神神経学会で、
性転換についてのガイドラインが作られ
1998年10月に国内で初めて
医療行為として認められた性転換手術(「性別再判定手術、性別適合手術」が正式名)が行われた。
また埼玉医科大で手術を受けた6人
(4人が埼玉医科大、残りの二人はそれぞれ米国とシンガポールで性転換手術を行っている)が、
2001年5月24日に戸籍上の性別表記の訂正を求め
各地の家庭裁判所に申し立てをした。
これを機会に、性の転換に伴い必ず付随する問題、
つまりは性別や戸籍の変更などのさまざまな法的問題について議論する必要がでてきた。

性同一性障害とは

埼玉医科大の答申によると
性同一性障害とは生物学的には完全に正常であり、
しかも自分の肉体がどちらの性に属しているかをはっきり認知していながら、
その反面で人格的には自分が別の性に属していると確信している状態
」と定義される。
この確信は不可逆なもので、1歳半〜2歳頃までに成立し、一度成立したら変わらないものである、とされる。

性同一性障害の種類としては、異なる性への志向度の違いから、
トランスセクシュアル(TS)、トランスジェンダー(TG)、トランスベスタイト(TV)などに分かれており、
これらの症状に悩まされている人は一体どれくらいになるか、というと正確な調査は行われていないが、
アメリカでは成人男性の二万四千〜三万七千人に一人、
女性では十万三千〜十五万人に一人とのデータがある。
また、治療を求めてきた人の数から推定すると、
おおよそ男性で三万人に一人、女性では十万人に一人位とみなされている。
この調査を元に概算すると、日本では2200人〜7000人の性同一性障害の人がいると想定されるが、
この数字も一般に医療機関が把握する数字としてのもので
実際にはその10倍にものぼるのではないか、との推定もあり不確実にならざるを得ない。

性というものの意味、そこから浮かびあがる様々な問題

性同一性障害という問題からは様々な問題が提出される。
例えば、性同一性障害を「性別に関する自意識と現実の性との違いからくる疾患」として
果たして「治療すべきもの」として扱ってよかったのかどうか。
そもそも「性」というものは二分制で割り切れるものなのかどうか。
逆に言うと、n個の性というものを認めてもよいのではないか。
さらに、性同一性障害者が自分の苦しみを緩和するために行う性転換手術により、
性を自分の望むままに転換してしまうのは許されるのか。
つまり、性の自己決定は許されることなのか。
性の自己決定権が認められるとしたらその根拠は一体何なのか。

だが、現に性同一性障害という症状で苦しみ、
性転換手術までしても自分の性を変えようとする人が存在する以上、
今考えなければならないのはそれらの人々がスムーズに社会生活を送れるかどうか、ということである。
性同一性障害を埼玉医科大の答申の通り「疾患」として位置づけ、
性別適合手術手術を「性同一性障害の治療のうちのひとつ」と考える。
その上で、治療が完了したにもかかわらず、
性別適合手術を受けた者が社会的な不利益をこうむるその最大の理由は法的問題にある。
その中でも戸籍における性別の問題には早急な解決が望まれる。

世界の性同一性障害に関する法整備

日本は性転換については世界の中でも遅れている国と言える。
2004年にようやく性同一性障害特例法が施行されたが
戸籍の性別変更に関する条件は厳しく、
変更を望む当事者でも条件を満たせずにいる者も多い。

性別変更に関する法律が制定されている国

関連サイト

私たちは性同一性障害を抱える人々を応援します

性同一性障害って何だろう? - NPO法人GIDmedia

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